【初学者必読】社会学用語図鑑が分かりやす過ぎる件。

書評

ごきげんよう、なめくじです。本日はプレジデント社出版『社会学用語図鑑』のブックレビューをしたいと思います。

目次

『社会学用語図鑑』の利点

『社会学用語図鑑』は、社会学部など、人文科学系の学部に進学し、これからこの分野について勉強を始める人、もう社会人になったが趣味で勉強をしてみたい人など、知的好奇心に溢れる人たちにお勧めしたい本です。社会学分野で計り知れない功績を残した先人たちの、少し難解でありますれども非常にユニークで面白味のある原著を、これから読み進めていこうという場面で大いに役立つことでしょう。

例えば、マックス・ウェーバーの『プロ倫』を読んでいる最中に「エートス」という用語に出くわしたとしましょう。ある程度の知識があるならば、この「エートス」が端的に表せば精神構造という意味をもつということが分かりますが、初学者にとってはこれを即座に理解するのは困難でありますから、逐一辞書をめくってみたり、あるいはWikipediaに潜らなければなりません。もっとも、辞書であれWikipedeiaであれ、簡易な説明があるとは限らず、むしろ、そういうものは往々にして難解でありますから初学者は発狂してしかるべきです。

実際にWikipediaで「エートス」をみてみると、

エートス (古希: ἦθος, ἔθος; ethos, 複: 古希: ἤθη ἤθεα; ethe, ethea) は、「いつもの場所」 (ἤθεα ἵππων) を意味し、転じて習慣・特性などを意味する古代ギリシア語である。他に、「出発点・出現」または「特徴」を意味する。

https://ja.wikipedia.org/wiki/エートス

とあり、「いつもの場所」を意味するのか、あるいは「習慣・特性」を意味するのか、はたまた「出発点・出現」「特徴」を意味するのか、情報が散らばっていて甚だ分かりづらいです。

そこで、『社会学用語図鑑』を開いてみると、

宗教の教義(教え)に基づいた、人々の主体的な習慣や精神の状態

田中正人編著『社会学用語図鑑』プレジデント社、2019年、73頁。

という風に、ごく簡易に要点がまとめられていて、さらにページの半分以上を用いて図式による解説がなされています。これによって、視覚的にも理解を深めることができますし、なにより円滑に原著を読み進められるという利点があります。

ただデメリットについても触れておかなければいけません。私の大学で有名な天邪鬼教授(しかし知識量は尋常ではないので尊敬しています)の言葉を借りれば、「本物(原著)を読まないとダメなんだよ」ということです。確かにその通りでして、先ほどに例示してみせたWikipediaの難解な解説でも、そうならざるを得ない言葉の生い立ちがありますから、これだけで完全に理解した気になるのは少し危険です。したがって、『社会学用語図鑑』は最初に原著に触れるに際して足掛かりとして用いるというのが、この書籍のメリットを最大限に生かせるものと思われます。

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文責:なめくじ

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