【社会学用語概説】自殺の4類型、アノミー、社会実在論について解説

社会学用語概説

この記事で知れること

  • 社会実在論とは
  • 自殺の4類型とは
  • 自己本意的自殺とは
  • 集団本意的自殺とは
  • 宿命的自殺とは
  • アノミーとは
  • アノミー的自殺とは
  • アノミー的犯罪とは

社会唯名論とは

社会学の原初より盛んに行われた議論が、「社会は実在するのか、それとも人と人のつながりがあるだけでそれを社会と呼ぶに過ぎないのか」でした。

社会は実在するとする立場を社会実在論といい、後述のデュルケームはこの説を補強する革新的なアイディアを著書『自殺論』で明らかにしました。現在の多数説は社会実在論です。

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一方、社会は実在しないとする立場を社会唯名論と呼びます。この解説は日を改めて行いたいと思います。

デュルケームは『自殺論』において、「各国の自殺者数、順位は大きく変わらない。自殺がもし個人の営みの中に完結し、外部とは全く無関係の行為であるとするならばそれらの数値は毎年かわるはず、したがって個人を超えた社会の力が個人に影響している」とし、これが社会実在論の補強に貢献しました。

『自殺論』の中でも特筆すべきは、個人的な事情を超越した社会的な自殺要因を類型化したことです(自殺の4類型)。

自殺の4類型①自己本意的自殺

近代化は人間を取り巻く環境を大きく変えます。

西洋では宗教改革が資本主義の萌芽に大きく寄与しましたが、新しく生まれたプロテスタントという宗派では、儀式的な信仰よりも個人の行動(例えば労働)を重んじる傾向がありましたから、共同体内で人と人の結びつきを弱めました。あるいは近代化で発生した都市は、現在もそうであるように、農村社会よりも人と人が交流する機会は少ないでしょう。

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このように近代化が作り出した端々に孤独を感じる社会でなされる自殺を自己本意的自殺と定義しました。このタイプは比較的新しい自殺です。

自殺の4類型②集団本意的自殺

対して、集団との結びつきが強すぎることが原因の自殺を集団本意的自殺としました。農村社会では隣人諸君の顰蹙を買うような行いをした場合村八分にあうことが多々あり、そのようなストレスが自殺に至らしめることを集団本意的自殺といいます。

これは一例に過ぎず、他にも会社内で責任を多く背負い込むようになる中間管理職の自殺もこれに含まれますから、一概に農村で起こる自殺の型というわけではありません。あくまで集団の結びつきが強すぎる社会での自殺が集団本意的自殺です。

自殺の4類型③宿命的自殺

中世以前のヨーロッパでは、貴族や諸侯などの富裕層は農奴を囲い込み、強制労働に従事させることによって支配していました。このような支配は、農作業や領内の土木工事に従事させ、生活の自由を奪う身体的な支配です。これに加えて、今でこそ平等が訴えられる社会ですが、歴史を遡れば遡るほど固定観念に基づく様々な差別が行われていました。このような、慣習(因習)や伝統が人々をあまりに拘束する社会で起こる自殺を、宿命的自殺といいます。

これは自己本意的自殺とは異なり、新しいタイプの自殺です。

自殺の4類型④アノミー的自殺

中世以降、納税方法が農産物や勤労を奉じる方法からお金に交換してから直接納める方法へと変わりました。これによって、従来身体を拘束されて労働から逃れることはできなかったものを、納税さえすれば自由に生活できるようになりました。この支配を経済的支配と呼びます。

となると、農産物をはじめとする商品を売る必要がありますから、当然市場という概念が生じます。したがって、好況/不況という概念もまた生じますから、人々はそれに左右される生活を送ることとなり、自殺の原因となりました。

ここで注意したいのは、不況時に生活が立ち行かなくなり自殺に至るというのは想像に難くありませんが、好況時においても欲望の肥大に歯止めがきかなくなり、際限のない欲望に疲労して自殺することもあるということです。

この欲望を自制できない無秩序な状態をアノミーといい、それによって引き起こされる自殺をアノミー的自殺といいます。

これに関連して、アノミーに陥った状態で、自己の欲望をかなえるために及んだ犯罪行為をアノミー的犯罪と呼びます。

参考文献

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『自殺論』中公文庫

『自殺論』中公文庫

新版『社会学』有斐閣

『社会学用語図鑑』プレジデント社

『心理学用語大全』誠文堂新光社

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