【概説】マージナルマンとは何か【社会学用語】

社会学用語概説

本稿では、マージナルマンとはどういう存在かを概観します。

マージナルは、英語では、

marginal

  • 周辺的な
  • あまり重要ではない

という意味を持ち、これにマンがつくと、日本語では周辺人、境界人と呼ばれます。しかし、この言葉が使われるのは主に二つの場面があり、それぞれ全く違ったものですので、順を追って説明します。

社会学用語としてのマージナルマン

社会学においてその言葉が使われるとき、それは「複数の文化にまたがるように、そして、不完全に属している人々」のことを意味します。

都市のなかにはいくつもの文化が同居しています。一昔前までは、さまざまな文化が集積したアメリカのことを、「人種のるつぼ」と呼んだりもていましたが、人種や彼らがつくりだす文化は、るつぼのなかで混じり合うものではない(つまり、一つ一つの文化は混じり合わずに存在している)ので、近年は「サラダボウル」の表現の方が適当であるとされています。そのような、複雑な社会において、どの文化にも完全に属することなく暮らしている人たちがいます。

例えば、ブレイディみかこのエッセイ『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー』で描かれる少年は、日本人の母とアイルランド人の父のあいだに生まれ、ロンドンで暮らし、いずれのコミュニティにも(日本人のコミュニティにも、アイルランドのコミュニティにも、そして、英国のコミュニティにも)完全な形で属するということはしていません。

彼らは、しばしばおぼろげなアイデンティティに悩まされます。日本人でも、アイルランド人でも、英国人でもない私は、一体何者なのだろうか、という風にです。しかし、複数の文化のはざまを縫うように生きる彼らは、多くの文化を客観的な視座から眺めることができる存在でもあるので、それらを掛け合わした新しい価値や文化を生み出しやすい境遇にあるとも言えます。なお、この概念は、社会学者パーク(1864〜1944)の『Human Migration and the Marginal Man』のなかで詳しく述べられており、後述するレヴィンの用法は、この概念を心理学に持ち出したものです。

心理学用語としてのマージナルマン

心理学においてその言葉が使われるとき、それは「子どもと大人の境界に立たされた存在、つまり、青年」を意味します。

これは、心理学者レヴィンが、パークの「マージナルマン」を心理学に応用したものです。精神的に不安定な存在である彼らは、私とは一体何なのかを突き止めるために、例えば、日記をつけるというような形で、内省的な傾向が強まるといわれます。

参考文献(おすすめ図書)

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