【マルクス用語概説】交換価値、使用価値とは何か

社会学用語概説

マルクス経済学の根本をなす、交換価値、使用価値はどのような概念なのでしょうか。この記事では、『資本論』を読み解くために両概念をわかりやすく簡潔に概説します。

『資本論』での交換価値、使用価値

いまなおマルクス主義を礼賛する者にも批判する人にも多くひもとかれる『資本論』、その諸言は、次のように始められます。

資本主義的生産様式が支配している諸社会の富は、「商品の巨大な集まり」として現われ、個々の商品はその富の要素形態として現われる。したがって、われわれの研究は、商品の分析から始まる。

(引用)

つまり、私たちが暮らしている資本主義社会では、財産――たとえば、家や車や本や私たちが働くときの労働力も全て――は他ならぬ「商品」として現われる、という意味です。その第一節で分析されるものとして、商品の二つの要因、交換価値(これは単に価値とも呼ばれます)と使用価値です。

交換価値とは何か

交換価値ないし単に価値は、次のように言われます。

交換価値は、さしあたり、ある一つの種類の使用価値が他の種類の使用価値と交換される量的関係、すなわち比率として現われる。

(引用)

物々交換のときの量的な関係として現われるのが交換価値だと言うわけですね。

たとえば、1kgの小麦粉と?kgの鉄が、交換されるとしましょう。?kgの鉄とあやふやに表現したのは、これが時と場合によって変動するからです。鉄が余って余って仕方がないというときには、相対的に鉄の価値は下がりますし、反対に鉄不足のいちじるしい戦時中には、鉄の価値は上がるでしょう。

小麦粉と鉄がいくらかの比率で交換される、それは、「同じ大きさの一つの共有物が、二つの異なった物のなかに(中略)存在するということ」を意味します。この目には見えない共有物ことが、交換価値です。

使用価値とは何か

では、その対概念である使用価値は何なのでしょうか。それは、ある物の有用性だと言えそうです。

鉄は何らかの変形が加えられ、ある製品の一部に組み込まれることで、小麦は何らかの料理に使われることで、ダイヤモンドは、夫人の指に輝くことで、商品としての効果を発揮します。そこには、鉄を採掘するのにどれだけの苦労をしたとか、小麦が大凶作でちょっとしか取れなかったとか、ダイヤモンドを採るためにどれだけ命を危険に晒したとかは、考慮されません(交換価値の場合はこれらが考慮されます)。

とすると、使用価値の大きさをはかるものは何なのでしょうか。それは、労働の分量によってはかられます。1時間畑を耕して作ったピーマンと、1時間畑を耕して作ったキャベツは、同じ価値をもつということですね(もちろんきわめて困難な仕事をする1時間と、ごく簡単な仕事をする1時間は同じ使用価値ではありません)。

しかし、ここでこのような疑問が起こるのではないでしょうか?

「1時間マジメに畑を耕した人と、1時間テキトーに畑を耕した人が、同じ働きをしたというのか!???」

もしくは、

「1時間をかけて作った陶器よりも、ダラダラと3時間かけて作った陶器の方が価値が高いのか!???」

……と。マルクスが言うのはこういうことではありません。使用価値をなす労働力は、「社会的平均労働力」とみなされるものです。なので、平均的に1時間かけて作られる料理と、平均的に1時間かけて作られる器は、同じ使用価値をもつことになります。

『資本論』で挙げられている分かりやすい例をみてみましょう。

イギリスで蒸気機関が導入されてからは、一定の分量の糸を織物に転化するためには、おそらく以前の半分の労働で足りたであろう。イギリスの手織工はこの転化のために実際には以前と同じ労働時間を必要としたが、彼の個人的労働時間の生産物は、いまではもう半分の社会的労働時間を表わすにすぎず、それゆえ、以前の価値の半分に低下したのである。

(引用)

交換価値と使用価値の関係

商品と商品の違いは、使用価値に着目すれば、労働の質の違いとして現われてきます。交換価値に着目すれば、物々交換の際の量の違いとして、商品と商品の違いがあらわれてきます。交換価値で商品をはかっていくときには、そこにはちょっとの使用価値も、考慮外におかれますし、逆の場合、すなわち使用価値で商品をはかっていくときには、そこにはちょっとの交換価値も関係してきません。つまり、交換価値と使用価値は、全くかかわりのないものとしてあるのです。

この記事をお読みになったみなさんは、交換価値の原理が強くはたらいた社会(つまり私たちが暮らす資本主義社会を意味します)か、使用価値の原理が優勢な社会、どちらが目指すべき社会だと考えますか?よろしければリプライをお願いします。それを考えるための参考図書も、以下に記載しておきますね。それではまた、ごきげんよう。

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