【経済思想概説】「経済思想史」「経済史」とは何か、その違いは何か【1】

経済思想史概説

この記事で分かること

  • 経済思想史とは何か
  • 経済思想とは何か
  • 両者の違いは何なのか

シリーズ経済思想概説では、経済思想に関する大学レベルの知識を体系的に解説していきます。第1回、第2回では、経済思想の概説に先立って、それを考える上での重要な視点について、前置きとして述べておきたいと思います。最新記事の更新情報は、拙Twitterアカウント(@SubCulKusoOtoko)をご覧ください。

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経済史とは

経済史は、「経済」の歴史です。したがって、過去の「消費、生産、流通をはじめとする経済活動」を研究の対象とします。

研究方法は、経済活動の結果として残る道具、たとえば貨幣や、古文書の発掘です。

一般に、経済史の系列は次の3つが挙げられます。

  1. フリードリッヒ・リストを代表とするドイツ歴史学派
  2. カール・マルクスの唯物史観
  3. 第二次世界大戦後に発展した経済成長史学

経済史は、ドイツ歴史学派(単に歴史学派とも呼びます)のフリードリッヒ・リストに始まるとされています。

フリードリッヒ・リスト、Wikipediaより引用

ドイツ歴史学派は、当時イギリスで支配的だった自由主義の経済学に抵抗する必要がありました。というのも、イギリスの古典派経済学は、地域・国の歴史的な特性を一切考慮せず、自由競争の推進という普遍的な経済理論を押し付けようとしていたからです。後進国であったドイツが、イギリスと同じように自由競争しても負けてしまう、その国の歴史的特性を考慮したうえで、経済活動は行われなければならない、というのがドイツ歴史学派の主張です。このようにして、その地域の特殊な経済活動の歴史を探求する経済史が生まれました。

経済思想史とは

経済思想史は、「経済思想」の歴史であり、したがって過去の「経済活動に関する思想」を研究対象としています。日本では、経済学史history of economicsとも呼ばれています。

研究方法は、経済活動に関して言及した人々の残したもの、たとえば、専門書や手紙、手記を参照し、思想家がどのような考えを持っていたかを探求します。

例を挙げると、マルクス研究では、従来は『資本論』を代表とする著作や書簡、草稿集が資料の中心的役割を担っていましたが、近年は膨大な量に及ぶ抜粋ノート(一般に「パリ・ノート」や「ロンドン・ノート」と呼ばれる)が新たに研究者の注目を集め、マルクス思想の更新が試みられています。

次回記事では、経済思想を読み解く上で重要な視点、「絶対主義」と「相対主義」について解説します。【経済思想概説】経済思想の眺め方「絶対主義」と「相対主義」【2】

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